TOEIC の高得点者を採用しても、まともに英語が使えない人が多いのだそうです。ネイティブ・スピーカーとの会話もできなければビジネスメールも書けないのだとか。
TOEICのスコアは高いが英語でビジネスメールが書けなかったり、英語圏の外国人との会話ができなかったりする
■ TOEIC高得点社員の英語力ギャップ なぜ?人事担当者もビックリクリップする(SankeiBiz)
記事の中では、こういう人がいる原因を、TOEIC 攻略のテクニックが進んだためだと解説しています。テクニックが進んだために、実力以上のスコアをとる人が増えたという論調ですね。
『「捨てる」英語スクール』を運営している青木百香氏に話を聞くと、「TOEICの攻略本の中には、英語が全く話せなくても満点を取る方法がある、と断言しているものもある」と言います。要するに、TOEICというテストは、ある程度の攻略方法をマスターすることで高得点が狙える試験なのです。そのため、TOEICスコアとビジネス現場で求められる「英語力」との間にギャップが生まれてしまっているのです。
でも、個人的には、この意見にはあまり賛同できません。実態とは違うのではないかと思っています。
少なくともテクニックにより日本人のTOEIC のスコアが大きく上がったと言う証拠はありませんしね。専門家を称するのなら、雰囲気だけで論評するのはいかがなものかと思います。
そもそもTOEIC 700点台とか800点台でビジネス英語が使えるわけが無い
私の見解はだいぶ違っています。そもそも、TOEIC 700点台や800点台で、英語を十分に使いこなせるわけが無いのです。ですから、750点の学生を新卒社員として採用しても、ビジネスメールが書けるわけが無いのです。
普通の小学6年生に微分方程式を解けといっても無理ですよね。それなのに、6年生にもなって微分方程式も解けないなんてけしからん、と言っているようなものなのです。
TOEIC で使われる語彙は限定的
例えば語彙の面で考えてみましょう。TOEIC の試験で使われるような語彙だけでは、ネイティブスピーカーの小中学生向けの書籍でも読みこなすことはできないでしょう。
というのも、TOEIC で使われる語彙の水準は8,000程度と言われています。つまり、満点を取るような人でも、この程度の語彙力しかない可能性があります。
その一方で、小学校高学年のネイティブスピーカーなら、1万語よりも遥かに多い語彙を知っているはずです。絶対数として語彙が少なすぎるのです。
こんな状況ですから、TOEIC 程度の試験でビジネスメールを書く能力をみるなんて、無謀なことです。ネイティブスピーカーの成人男性なら、TOEIC 800点台の受験者の数倍程度の語彙は持っているはずですから。
TOEIC の受験者の多くは英語を書いた経験なんてほとんど無い
ネイティブ・スピーカーなら、子供のころから膨大な量の書き物をさせられているはずです。これは日本の小学生を思い浮かべてみればよく分かります。日本人の小学生だって、学校の授業や宿題で、作文やらレポートは書かされるはずです。それと似たような事を、英語圏の小学生だってしているのです。
一方で、日本の英語学習者が英語に関してそんなことをしているとはまったく考えられません。真面目にやっている人でも、書かれたものを読む程度の練習しかしていないはずです。そもそも、日本の大学入試の試験だって、英作文の占める割合はゼロに近いですしね。
まったくトレーニングをしていないのですから、ビジネスメールが書けるはずはありません。そもそも、そんなことを期待する会社の方が無知なのです。
そんなに英語が大事なら、ネイティブスピーカーを最初から採用する方が良いはずです。どうしても日本人がよければ、外国語学部か英米文学科の学生でも採用する方が良いでしょう。
TOEIC 神話は捨てるべき
TOEIC が試験として意味が無いというつもりはありません。でも、このテストを絶対的なものとして崇め奉る傾向は、そろそろ捨てた方が良いでしょう。
そもそも、TOEIC なんて日本人と韓国人しか受けない試験ですからね。しかも、基本的にはリスニングとリーディングの能力しかはかれません。こんなものありがたがる方がどうかしているのです。
教育産業に踊らされているだけですよ。
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